ヒューマンエラーが頻発していたアナログ業務をDX化し、NetSuiteを活用して業務効率と内部統制を徹底的に改善しました。ワークフローの自動化や権限管理の強化を通じて、厳格な内部監査に対応可能なシステムを構築。結果、業務効率を大幅に向上させ、内部監査での指摘事項を大幅に減少させました。
支援背景
営業や経理部門がExcelや古いシステムを用いた非効率な業務を行っており、手動でのデータ入力や二重管理が常態化していました。そのため、ヒューマンエラーが頻繁に発生し、親会社の厳しい内部監査でも多くの問題が指摘されていました。これに対応すべく、内部統制の強化を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が必要とされていました。
課題
- ヒューマンエラーによる会計処理ミスや規制違反のリスクが高かった。
- 正確な会計データが欠如しており、経営判断に悪影響を及ぼす懸念があった。
- アナログな業務プロセスによって社内リソースが逼迫し、効率が低下していた。
支援内容
システム導入と併せて、NetSuiteの複雑なカスタマイズを実施し、厳しい内部統制基準をクリアできる、ヒューマンエラーが起きにくいシステムを構築しました。以下の3つの主なカスタマイズを実施しました。
API自動連携
複数の周辺システムでデータが管理されており、それらのデータを手動でNetSuiteに入力する必要がありました。この手作業のプロセスがヒューマンエラーの原因になっていました。RICE CLOUDは、周辺システムからの共通データを自動的にNetSuiteに取り込むAPI連携を開発し、これにより手動入力を排除しました。具体的には、営業管理システムや在庫管理システムからのデータがAPIを通じてリアルタイムでNetSuiteに連携され、これによりデータの一貫性が確保されました。
さらに、NetSuite内でのデータ編集には厳しい制限を設けました。連携されたデータは、原則として編集不可とし、もし修正が必要な場合は、まず編集後に承認者による確認と承認が必須のワークフローを導入。承認が得られた後にのみ、次のステップに進めるというプロセスを構築しました。このプロセスは特に財務データの信頼性を保つために不可欠であり、内部統制基準を満たす重要なポイントとなっています。
承認フローの強化
承認フローは、内部統制を強化するためにさらに複雑で柔軟なものにカスタマイズしました。通常の承認フローに加え、以下のような承認プロセスを設計しました。
- 金額基準の承認プロセス:例えば、ある取引や支出が特定の金額(例:500万円)を超えた場合は、通常の承認者に加えて経理部門や財務部門の承認が必要となるよう設定。これにより、大規模な取引や支出が事前に十分な確認を受けることが可能になりました。
- 部門基準のフロー:申請を行う担当者の所属部署によって、異なる承認者がアサインされる仕組みを導入。例えば、営業部門からの申請には営業部門の上司の承認が必要であり、経理部門からの申請には経理部門の承認が必要など、部署ごとにカスタマイズされた承認フローを自動的に適用しました。これにより、各部門が適切な承認を行うことで、社内全体の内部統制が強化されました。
- 複数ステージの承認フロー:特に大規模なプロジェクトや高額取引に対しては、3段階の承認プロセスを導入。例えば、第一段階では担当者の上司が承認し、第二段階で経理部門が確認、最終的には経営陣の承認を得るという多層的なフローを設計。これにより、リスクの高い取引や支出が慎重に管理される仕組みが構築されました。
権限の細分化とロールベース管理の強化
NetSuiteの権限管理を、より厳密で詳細なものにするために、ユーザーごとの権限をロールベースで細かく設定しました。具体的なカスタマイズの例は以下の通りです。
- 外部システム連携案件への特定権限:外部システムからAPIを介して連携された案件に対してのみ、特定のユーザーが請求書を作成できる権限を付与しました。このカスタマイズにより、例えば営業部門の担当者が自ら受注案件に対して請求書を作成することができるようにしつつも、外部システムから連携されていない案件については編集や請求書作成ができないように制限しました。
- 詳細な編集/閲覧権限:各部署や担当者に対して、データの閲覧や編集に関する権限を細かく設定しました。例えば、経理部門はすべての財務データの編集権限を持つ一方で、営業部門は自分の案件に限り編集可能とするなど、役職や業務内容に応じた権限設定を行いました。これにより、全体の権限管理が一層厳密になり、不要なデータアクセスや誤操作を防ぐことができました。
- 承認ステータスによる権限制限:承認ステータスに基づいて、データの編集可能な状態を動的に変更する機能も追加しました。例えば、承認が未完了の状態では特定のデータは編集できないように制限し、承認後のみデータが次のプロセスに進むというフローを構築しました。
支援結果
DX化の推進
営業や経理、購買などの業務において従来Excelで管理されていた業務は80%以上がNetSuiteや関連システムに移行し、手作業による管理の負担が劇的に軽減されました。
業務効率の向上
APIによる自動連携により、以前必要だった二重入力は完全に排除されました。これにより、ヒューマンエラーの発生リスクも大幅に減少しました。
内部統制の強化
導入前には27件のヒューマンエラーが監査で指摘されていましたが、導入後は3件まで減少。NetSuiteの導入により、厳しい内部監査基準にも対応できる体制が整いました。
お客様の声
NetSuiteを使って、どうやって内部統制を強化できるかをRICE CLOUDさんが丁寧にサポートしてくれました。私たちだけでは思いつかないような運用方法を提案していただき、最適なソリューションを一緒に作り上げることができました。NetSuiteだけに依存せず、他のシステムとの連携も考慮していただいたおかげで、全体の最適化が実現し、本当に心強いパートナーだと感じました。